山下 雅司

日本循環器学会循環器専門医
総合内科専門医

心不全・心疾患外来

心不全とは、心臓のポンプ機能の低下により、うっ血と体液貯留を来たし生活機能に障害を生じた病態です。慢性進行性であり、その生命予後は不良です。心不全は、あらゆる心臓疾患の終末像です。狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、心臓移植の対象となりうる拡張型心筋症、弁逸脱による僧帽弁逆流症や石灰化による大動脈弁狭窄症などの弁膜症などがその心臓疾患の代表と言えます。

また高血圧や糖尿病も心臓肥大を来たし、やがて心不全に至る可能性のある疾患です。疾患特有の症状も加わりますが、その主症状は、呼吸困難（最初は労作時に生じますが、進行すると安静時にもみられます。）、動悸、胸部不快感や浮腫などです。こういった症状をもとに、身体所見及び胸部レントゲン、心電図により心疾患を想定し、心エコー、運動負荷心電図、長時間心電図に加え、 CT、MRIやRI、さらには心臓カテーテル検査などで確診と病状把握に至ります。

薬物治療の進歩により以前に比し、その生命予後の改善が見られますが、劇的なものではありません。また、手術などによって根治可能な疾患もあり、正確な診断を要します。当院では、施設の関係上先に述べたすべての検査が可能というわけにはいきませんが、できる限り的確な診断と病状把握に努め、状況により適切な施設への紹介をさせていただいています 。

不整脈外来

正常洞調律以外の調律を不整脈といいます。不整脈は、各種心臓疾患に伴って出現し、血行動態に悪影響を及ぼすだけでなく、突然死を来たす可能性もあります。しかし、一見正常と思われる心臓にも出現することもあります。不整脈を疑うきっかけになる症状は、胸部違和感をはじめ、動悸、めまい、失神などです。こういった症状をもとに12誘導心電図、モニター心電図、ホルター心電図や運動負荷心電図などで不整脈を検出していくことになります。

また、侵襲的な検査として心臓電気生理検査がありますが、不整脈の確定診断のみならず根治治療も視野に入れて行います。さて、不整脈は、放置していても良いものから生じるだけで死に至る致死的不整脈まで多彩です。

治療は、抗不整脈薬による治療が中心になりますが、短期的には有用性を発揮しても、必ずしも長期予後を改善させうるものばかりではありません。逆にその催不整脈作用により致死的不整脈を誘発することがありその使用は慎重でなければなりません。

カテーテルアブレーションやペースメーカー、植え込み型除細動器（ICD）など非薬物治療も進歩し、多数の方がその恩恵を受けていますが、あくまでも正確な診断と慎重な適応の上に成り立っています。当施設では、その一助となれるよう日々努力しています。

高血圧外来

高血圧は、最も患者数の多い疾患であり、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血等の脳血管障害、狭心症・心筋梗塞等の冠動脈疾患、閉塞性動脈硬化症及び心不全、腎不全の主要危険因子です。

これまでは、診察時の血圧（随時血圧）を基に治療が行われてきましたが、必ずしも脳・心事故を予測できないことが分かってきました。最近、自由行動下血圧測定（ABPM）や家庭血圧測定が可能となり随時血圧が正常にもかかわらず一日の中で、高血圧を呈する時間があることが分かってきました。特に早朝高血圧の概念が確立され、午前中に脳・心事故が多発していることの主要因とされています。

降圧薬を用いた治療が主となりますが、中には手術により根治しうる二次性の高血圧も存在するためまず的確な診断が必須です。治療は、薬物治療が中心になりますが、当院では、まずは生活習慣の改善（塩分制限、運動療法、肥満のコントロール、アルコール制限、禁煙等）にも力を入れ、家庭血圧の測定もしてもらいながら、各種降圧薬の特色を生かし、エビデンスも加味して各患者様の病態に応じた治療を積極的に奨めています。特に早朝高血圧の制圧には、力を入れて取り組んでいます。

肥満・生活習慣病外来

生活習慣（食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒等）の変化により肥満・糖尿病・高脂血症が増加し、高血圧症とともに、メタボリックシンドローム（MS）という概念が確立され、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症等の動脈硬化性疾患発症の危険性の高い病態と考えられています。それらにとどまらず、脂肪肝（やがて肝硬変から肝臓癌に至る例もあります。）、癌や骨粗鬆症などもいわゆる生活習慣病として意義付けがされています。その中心をなす病態は、肥満であり、特に内臓脂肪の蓄積による内蔵脂肪型肥満がMSの発症基盤とされています。

内蔵脂肪型肥満は、正確には、腹部CTの撮影によって診断しますが、簡単にはおへそを通る腹囲の測定で可能です。すなわち、男性で85cm以上、女性で90cm以上が診断基準となっています。

肥満の治療は、食事と運動療法につきます。当院では、補助的には、エビデンスの確立されたダイエット食品を紹介させてもらったり、漢方薬を併用した治療を行っていますが、20kgの減量を実践した当院医師の経験もお話しながら、自らがんばるダイエットに取り組んでいます。